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ノートとペン

コラム

士業事務所のセキュリティ対策を「顧問先への提案」に変える——差別化の視点

  • 5月27日
  • 読了時間: 3分

情報セキュリティの整備は、リスク管理のためだけではありません。適切に整備された事務所は、それを「顧問先への信頼の証」として活用できます。

「うちの事務所はこのようなセキュリティ体制を整えています」と説明できることが、顧問先の選定基準において差別化要因になります。同等のサービス・料金の士業が複数いる場合、情報管理への真剣な取り組みが選ばれる理由になり得ます。



顧問先がセキュリティを気にし始めている背景

個人情報保護法の改正(2022年)以降、中小企業でも個人情報管理の義務が強化されました。顧問先企業も「委託先のセキュリティ管理」を確認する義務を持ちます。委託先のセキュリティ管理が不十分な場合、委託元も管理責任を問われる可能性があります。

税理士・社労士事務所は、顧問先の個人情報・財務情報を預かる「委託先」です。顧問先がセキュリティ管理の強化を求め始めた場合、「うちの士業事務所は大丈夫か」という問いかけが来る可能性があります。2026年度にはSCS評価制度が開始され、取引先のセキュリティ評価が可視化される仕組みが整備されます。



「セキュリティ体制説明書」を作る

自事務所のセキュリティ体制をA4用紙1〜2枚にまとめた「セキュリティ体制説明書」を作成することをお勧めします。


記載内容の例——情報管理の基本方針、使用しているセキュリティ対策(多要素認証・ディスク暗号化・アクセス権限管理等)、インシデント発生時の連絡体制と対応手順、個人情報保護への取り組み、SCS★3取得の予定(または取得済みの場合はその旨)。


これを顧問契約時に説明・提供することで、「情報管理に真剣に取り組んでいる事務所」という印象を与えられます。契約後に口頭で説明するより、書面で渡す方が、顧問先の記録に残ります。



新規顧問先への提案に組み込む

新規顧問先候補との初回面談で、「弊所では情報セキュリティの整備に力を入れています」という話を自然に組み込むことができます。「最近、士業事務所への情報漏洩攻撃が増えていますが、弊所では以下の対策を取っています」という形で伝えることで、専門性と信頼性を同時にアピールできます。

特に、医療機関・上場企業・個人情報を多く扱う企業を顧問先として持つ士業事務所では、このアプローチが有効です。これらの企業は、委託先のセキュリティ管理を厳しく見る傾向があります。SCS評価制度の開始後は、★の取得状況が判断材料になることも想定されます。


「整えた後に売る」順番

重要な前提として、セキュリティ体制は「整えてから提案する」順番です。「整えています」と言いながら、実態は何も整備されていない状態では、顧問先への説明が逆効果になります。

万一漏洩が起きた際に「整えていると言っていたのに」という話になれば、信頼の損失は倍増します。まず実態として整備し、説明できる状態を作る——これが正しい順番です。整備した内容を対外的な信頼獲得に活用するのはその後の話です。

セキュリティ体制の整備と、顧問先への説明材料作りについて、無料診断からスタートできます。


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行政書士事務所みまもり

セキュリティ研究者・デジタルフォレンジックエンジニア

成田 浩志

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