概要
事業再構築補助金は、新型コロナウイルスで経営に悪影響が出た事業者が、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業・業種転換、事業再編、国内回帰又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するものです。
第10回公募からは、物価高等支援の「物価高騰対策・回復再生応援枠」、事業再構築が求められる業種・業態支援の「産業構造転換枠」、海外製造から国内回帰を進める製造業への支援として「サプライチェーン強靱化枠」、成長分野への事業再構築を支援するべく売上高等減少要件を撤廃した「成長枠」を新設するなどの取り組みも見られます。
補助率・補助上限額
補助上限額は100万円~1.5憶円、補助率は1/3または3/4で、補助対象経費や申請する枠によって異なります。
従業員数が多い会社ほど上限金額は大きくなるほか、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を行う「グリーン成長枠」に該当すると、高い上限額が設定されています。
補助金の対象者
事業再構築補助金の補助対象者は、規模、資本金、従業員数などから判断されます。
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製造業、建設業、運輸業
資本金3億円以下かつ常勤社員数300人以下
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卸売業
資本金1億円以下かつ常勤社員数100人以下
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サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)
資本金5,000万円以下かつ常勤社員数100人以下
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小売業
資本金5,000万円以下かつ常勤社員数50人以下
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ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
資本金3億円以下かつ常勤社員数900人以下
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ソフトウェア業又は情報処理サービス業
資本金3億円以下かつ常勤社員数300人以下
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旅館業
資本金5,000万円以下かつ常勤社員数200人以下
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上記以外の業種
資本金3億円以下かつ常勤社員数300人以下
上記に加え、以下の要件を満たす法人等も対象となります。
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資本金の額又は出資の総額が10億円未満の法人であること。
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資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、従業員数(常勤)が2,000人以下であること。
上記以外にも細かな要件が決められていますので、正確な情報はお問い合わせをいただくか募集要項をご確認ください。
補助対象となる経費
事業再構築補助金の補助対象となる経費は、以下の通りです。
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機械装置・ システム構築費
単価50万円(税抜き)以上で以下に該当するものが対象
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専ら補助対象事業のために使用される機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具、電子計算機、デジタル複合機等)の購入、製作、借用に要する経費
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専ら補助対象事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費
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1.若しくは2.と一体で行う、改良・修繕又は据付けに要する経費
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技術導入費
補助対象事業の実施に必要な知的財産権等の導入に要する経費
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専門家経費
補助対象事業の実施のために依頼した専門家に支払われる経費
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運搬費
運搬料、宅配・郵送料等に要する経費
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クラウドサービス利用費
専ら補助対象事業にのみに関するクラウドサービスの利用に関する経費(他の事業と共有する場合は不可)
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原材料費
試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入に要する経費
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外注費
新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査等の 一部を外注(請負、委託等)する場合の経費
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知的財産権等関連経費
知的財産権等取得に関連する経費新製品・サービスの事業化に当たって必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用、外国特許出願のための翻訳料等の知的財産権等取得に関連する経費
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広告宣伝・販売促進費
開発又は提供する製品・サービスに係る広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール35 活用等に係る経費
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研修費
補助対象事業の遂行のために必要な教育訓練や講座受講等に係る経費
(補助対象経費総額(税抜き)の1/3が上限)
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廃業費
産業構造転換枠に申請し、既存事業の廃止を行う場合のみ申請可。
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廃止手続費(既存事業の廃止に必要な行政手続を司法書士、行政書士等に依頼するための経費)
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解体費(既存の事業所や事業において所有していた建物・設備機器等を解体する際に支払われる経費)
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原状回復費(既存の事業所や事業において借りていた土地や建物、設備機器等を返却する際に原状回復するために支払われる経費)
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リースの解約費(リースの途中解約に伴う解約・違約金)
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移転・移設費用(既存事業の廃止に伴い、継続する事業を効率的・効果的に運用するため、設備等を移転・移設するために支払われる経費)
(補助対象経費総額の1/2又は2,000万円の小さい額が上限)
申請の流れ
1.申請書類の準備
以下のURLなどから申請書類を入手します。申請書類に不備があった場合は不採択となるのでお気を付けください。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/download.php
2.申請手続き(事業者が実施)
電子申請または郵送によりご提出します。
電子申請に際しては、補助金申請システム(名称:Jグランツ)を利用します。Jグランツを利用するにはGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。アカウントの取得には数週間程度を要しますので、お早めに利用登録をされることをお勧めします。
3.申請内容の審査
審査のポイントの一例を記載します。これらを抑えた事業計画の作成が必要です(各申請枠によりポイントが異なります)。
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補助対象事業の申請要件、申請枠及び補助率等」を満たすか等。
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試作品・サービスモデル等の開発における課題や目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。
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補助事業実施のための技術的能力、社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)、財務状況(金融機関からの調達含む)が備わっているか。
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事業化に向けて、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確にし、市場ニーズの有無を検証できているか。
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自社の強み、弱み、機会、脅威を分析(SWOT分析)した上で、事業再構築の必要性が認識されているか。また、事業再構築の取組内容が、当該分析から導出されるものであるか、複数の選択肢の中から検討して最適なものが選択されているか。
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事業再構築指針に沿った取組みであるか。特に、業種を転換するなど、リスクの高い、大胆な事業の再構築を行うものであるか。
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補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか。
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ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会の変化に伴い、今後より生産性の向上が見込まれる分野に大胆に事業再構築を図ることを通じて、日本経済の構造転換を促すことに資するか。
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各補助事業枠(グリーン枠、グローバル市場開拓枠)に関する取り組みとして妥当か。
また、以下のような加点ポイントもありますので、積極的に狙っていきましょう。
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大きく売上が減少しており業況が厳しい事業者
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最低賃金枠申請事業者
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経済産業省が行うEBPMの取組へ協力している事業者
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パートナーシップ構築宣言を行っている事業者
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事業再生を行う事業者
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大幅な賃上げを実施する事業者
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ワーク・ライフ・バランス等の取組などを行う事業者
なお、既に過去の公募回で補助金交付候補者として採択されている又は交付決定を受けている場合には、一定の減点を受けることとなります。
4.採択・交付申請
申請者全員に対して、速やかに採択・不採択の結果を事務局から通知します。採択となった場合、受付番号、商号又は名称、事業計画名、事業の主たる実施場所等について、申請での記載内容通りにホームページ等で公表されます。補助対象経費を精査し、補助金の交付申請手続きを行い、問題がなければ事務局から交付決定通知書が届きます。
5.補助事業の実施(事業者が実施)
申請時に提出した補助事業計画に沿って事業を実施します。事業は補助事業実施期限までに完了する必要があり、補助事業期間内に支払いが完了しているものが、補助金対象経費になります。支払いが早すぎても遅すぎてもダメなので注意が必要です。ただし、例外的に期間外の経費が認められるものもあります。
6.実績報告書の提出(事業者が実施)
補助事業終了後30日又は最終提出期限のいずれか早い日(必着)までに報告書を提出します。
7.確定検査・補助金額の確定
実績報告書や支出ごとの証拠書類(見積書、発注書、契約書等の写し)について、事務局が審査・確認を行い、補助金額を確定します。
8.補助金の請求(事業者が実施)
補助金額が確定した後、「補助金確定通知書」が送付されます。金額を確認して、精算払請求を行います。
9.補助金の入金
補助事業者に交付(入金)されます。
(請求後数週間程度かかります。)
10.事業効果報告(事業者が実施)
補助事業を完了した年度から5年間(計6回)、本事業に係る事業化等の状況を事業化状況・知的財産権等報告書により報告するとともに、本事業に関係する調査に協力をします。
最後に
以上が、事業再構築補助金の概要となります。
当事務所「行政書士事務所みまもり」は、小規模事業者から中小企業の皆様の事業継続を支援するため、八尾・東大阪エリアで行政書士事務所を運営しています。事業再構築補助金に関するご相談や申請手続きについては、どうぞお気軽にご相談ください。国内最大手の信用調査会社で数100社の経営分析を経験し、自身も複数の事業会社を運営した経験のある行政書士が、事業計画書の作成を丁寧にサポートいたします。
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