障がい者福祉施設の
開業後の注意点
障がい者福祉施設開業後の注意点
障がい者福祉施設は、指定を受けられたら一安心という訳ではありません。
福祉事業は高い公益性が求められるため、開業後も高いコンプライアンス意識が求められ、不正が発覚すれば給付金の減算や最悪の場合事業の停止などもあり得ます。
日ごろから高い遵法精神で事業を行うために、開業後の注意点を確認しておきましょう。
開業後の注意点
障がい者福祉事業者は、障がい者総合支援法や児童福祉法に基づき、事業者には国保連という法人を通じて公費で給付されます。
給付金はサービスの内容や事業所の所在地などから、法律に定められた計算方法で算出し、利用者の利用時間に応じて支払われます。
また、障がい者福祉事業は公費から支払われることから、事業が適正に運営されているかを確認する必要があります。そのため、指定権者が定期的に訪問し、人員、設備、財務、支援の内容などの観点から、事業が適正に運営されているかの確認が定期的に行われます。
事業者に支払われる費用
国保連から事業所に支払われる給付金の算出方法は、運営する事業によって大きく異なります。適切な収支管理は事業を適正に運営する上で非常に重要です。事業計画や収支計画を作成する上でも、給付金の算出方法は正確に理解しておく必要があります。
給付金は利用者にとってより良い施設の運営が行われると、実施項目に応じて加算されますがが、逆に利用者にとってサービスの質が下がったり、不正が行われたりすると減算されます。
利用者の満足度のためにも、事業の運営のためにも、コンプライアンス意識を高く持って事業に取り組む必要があります。
各事業における給付金の算出方法は、それぞれのサービスの紹介ページでご確認ください。
実地指導
実地指導とは、事業が適正に運営されているかを確認するため、指定権者が定期的に訪問し、人員・設備・財務・支援の内容などの観点から行う指導のことを指します。
指定権者である自治体にもよりますが、開業して間もない事業所の場合開業後1~2年以内に、その後おおむね5年に1回のペースで実施されます。基本的に数か月前(1~2か月)に日程を指定して通知が送られますが、緊急で実施されるケースもあります。
実地指導の内容は自治体によっても異なりますが、事業の制度や法令を理解し、普段から作成する必要のある記録や帳票などの書類を整理しておけば十分に対応することができます。
障がい者福祉事業の実地指導においては、特に「利用者に関連する事項」や「スタッフ等の人員配置」、「お金回り」に注意する必要があるので、普段から以下の資料意識して記録を残しておくのが良いかと思います。
サービス管理者等の人員要件について
管理者やサービス管理者、職業指導員、生活支援員等の、事業を行う上で法令上必要な人員を継続して配置できているかについては重要な確認事項です。
利用者の利用状況や契約関係
タイムカードをはじめとする利用者の勤務状況や、雇用契約書等の契約関連について確認します。また、個別支援計画の作成状況など、利用者が施設を適正に利用できているかを確認できる状況にしておく必要があります。また、利用者の利用時間は給付金額に直結するため、正確に記録しておく必要があります。
スコアや加算・減算状況
障がい者福祉事業は国費からお金が出ているため、給付される金額に直結するスコアや給付金額の加算要件の不正な申請、減算要件の未申請などについて確認を受けます。しっかりと説明ができるように正確に記録する必要があります。
会計資料全般
その他会計資料全般について、あとから業務実績と整合性を確認できるように作成しておく必要があります。給付金の加算減算要件や利用者に請求する費用などの要件も注意しましょう。
また、就労継続支援事業、就労移行支援事業においては、就労継続支援会計という方法で管理します。「生産活動収益」と「訓練等給付費等」が混在することがないように、正確に管理する必要があります。
その他、事後や虐待の予防、苦情相談の記録、感染症など対策など、不測の時代にどのように対応するかといったマニュアルについても日ごろから整理しておき、いつでも実地指導に対応できる状態を維持しておくことが求められます。
監査
監査は実地指導とは異なり、事業者に不正が疑われたときに実施されます。利用者や家族からの通報や苦情などがあった際に、事業所の実地検査を行います。実地検査の結果不正が確認された場合は是正勧告が行われ、それでも改善されない場合は改善命令が下されたり、最悪の場合指定の取り消しなの措置が行われることもあります。
監査の結果勧告以上の措置を受けた場合は、事業所名が公開され信用にかかわることから、事業の運営が厳しくなります。また、会計に関する不正があった場合は、不正した分の金額を返金する必要があり、さらには返還金額に100分の40を乗じて得た加算額(不正した分の40%)を請求されることがあります。
実地検査の結果、是正改善が指摘される具体的な指摘事項の例として、以下のようなものがあげられます。
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身体拘束等の適正化に関する事項を満たしていない
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人員要件の不正
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非常災害対策の不足・不備
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事業の会計が他事業の会計と区分されていない
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給付費の額を利用者に通知しない
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ハラスメント対策を講じていない
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給付費の算定に関する不正
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苦情等の記録が未整備
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受給者証記載事項等の未報告
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虐待防止研修や委員会の未開催
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サービス提供記録の確認を利用者に受けていない
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管理者が従業者及び業務の一元的管理を行っていなかった
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虚偽の内容により指定を受けた
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虚偽の従業者勤務実績表を作成した
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監査において管理者兼サービス管理責任者が実務経験について事実と異なる答弁をした
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利用者が通所していない日について出勤簿に虚偽の捺印をした
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出勤簿、サービス提供記録、サービス提供実績記録票の不正
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利用者に対する食費の過大請求
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利用者に対して施設内トイレの使用を制限する
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利用者に対する継続的な暴言
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利用者に対する暴行
日ごろからコンプライアンスを意識し、いつ実地指導や実地検査が行われても対応できる状態を維持しておくことが求められます。
”行政書士事務所みまもり”では、
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